このブログを始めるにあたって
はじめまして、「ひねもす」と申します。
これから「契約は、事業を動かす力だ」というブログで、契約書作成・検討業務についての記事を書いていこうと思っています。
最初の記事として、まずは私自身のことと、このブログに込めた思いを、少し長くなりますがお伝えできればと思います。
私は、契約書の専門家として何かを教える立場ではありません。同じように契約書と向き合ってきた、経験者の一人として、皆さんとお話しできたらと考えています。
私が歩んできた40年
私は、単体の売上高が1兆円を超える日本の大企業に、40年以上勤務してきました。
そのうち5年間は法務部で、12年間は知的財産部で、そして直近の5年間は新規事業を立ち上げる部門で、契約に関する仕事に携わってきました。
これらの部署であわせて経験した契約書の作成・検討・交渉・締結・リスクマネジメントは、3,000件を超えます。
相手方は、国内外の大企業から中小企業、零細企業、スタートアップ、さらには大学や公的機関などの研究機関まで、実にさまざまでした。
これだけの経験を積んできたと言うと、何か特別な資格を持っているように思われるかもしれません。
ですが、私は司法試験に合格しておらず、弁護士をはじめとする法曹資格は一切持っていません。
ですので、このブログで法律相談のようなことをするつもりはありませんし、法令や判例について私なりの解釈を断定的にお伝えすることもいたしません。
契約書作成・検討業務でずっと考えてきた3つの視点
40年の間、私が契約書と向き合うときにいつも意識してきたのは、次の3つの視点でした。
法的紛争対応
万が一、契約の相手方と法的な紛争に至ってしまった場合に、自社が不利にならないようにするための視点です。
契約書の一言一句が、将来の紛争のときにどう働くかを想像しながら、条文を検討してきました。
コンプライアンス対応
相手方との法的な紛争には直接つながらなくても、風評リスクなど、会社の社会的な責任に関わる視点です。
契約書の内容だけでなく、その先にある社会からの見え方まで意識してきました。
事業推進対応
契約を、単なるリスク管理の手段としてではなく、自社が進める事業を後押しする力にするための視点です。
私は、この3つ目の視点を大切にしたいと考えてきましたし、このブログのタイトルにも込めています。
このブログを、こんな方に読んでいただきたい
私がこのブログを届けたいと考えているのは、主に次の4つのタイプの方々です。
大企業の契約書作成・検討業務担当者の方へ
法的紛争対応、コンプライアンス対応、事業推進対応の間で悩みながら、なかなか正解が見えないという方。
社内の関係者と認識をそろえるためのチェックリストや、後任の方への引継書を、自分の手で作ろうとしている方。
そうした方々に、少しでも参考になる材料をお届けできたらと思っています。
企業法務を担う弁護士の方へ
クライアント企業からの法律相談を受けるにあたり、その企業の契約書作成・検討業務担当者が、どの程度のレベル感で契約書と向き合っているかを知りたいという方にも、参考にしていただけるのではないかと考えています。
中小企業やスタートアップの代表者の方へ
限られた人的リソースの中で、取引先から提示された契約書案の、どこに気をつければ最悪の事態を避けられるのか、それを知りたいという方へ。
私の経験が、リスクの当たりをつける手がかりの一つになればと思っています。
日本企業と取引する海外企業の担当者の方へ
日本の法律や商習慣に必ずしも詳しくないものの、日本企業と契約を結ぶにあたって気をつけたいポイントを知りたいという方にも、お役に立てる内容を心がけていきます。
私がこのブログでお伝えしたいこと、お伝えしないこと
はじめにお断りしておきたいのですが、私が勤めていた会社の契約書作成・検討業務が、他の企業にとっての模範だとは考えていません。
むしろ、私が勤めていた会社のほうが、他の企業の実務を参考にさせていただくことのほうが多かったように思います。
このブログでお伝えしたいのは、「私のやり方を真似してください」ということではなく、「私がこれまで悩みながら気をつけてきたこと」を、一つの実例として紹介することです。
読者の皆さんの多くは、司法試験に合格していない私よりも、はるかに法律や企業法務に詳しい方が多いのではないかとも思っています。
ですから、法令や学説については、断定的な言い方を避け、「通説によれば」「一般的には」といった紹介にとどめるようにいたします。
私自身が悩みながら経験してきたことを、同じように悩む方と分かち合うこと。それが、このブログの一番の目的です。
生成AIの時代に、契約書作成・検討業務担当者にできること
最近は、生成AIが契約書の作成・検討を手伝ってくれる場面も増えてきました。
それでも、生成AIにはまだ担いきれない判断や、社内での説明・説得、そして最終的な責任を引き受ける役割は、契約書作成・検討業務を担当する方に残り続けているように感じています。 このブログでは、そうした担当者の存在意義を考えるヒントとして、契約条文の修正を生成AIに依頼するときに使えるプロンプトの例も、あわせてご紹介していこうと思います。

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